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本の感想紹介

  • いっこ 様58歳

     勤務している小学校で、戦争に関する本の読み聞かせをしたいと思い、真っ先に思い浮かんだのが、以前読んだことのあったこの本でした。改めて読み直して、やはり「これだ!」と思い、1年生の9月最初の図書の時間に4クラスに読み聞かせをしました。コロナ禍の中ですので、書画カメラを使って行いました。子ども達は絵を ...続きを読む
    細かいところまでよく見ながら、じっと聞き入っていました。
     担任ではありませんから、授業の流れの中でいろいろな話をした上で、読み聞かせができるわけではないので、戦争の話は読むのが難しいのです。読み聞かせ後に説明して補うこともできません。でも、この本は、ごく普通に読んでいくだけで、日中戦争から太平洋戦争までの長い戦争のことがよくわかり、また平和時と戦時の雰囲気の違いも自然に感じ取れると思いました。日本は戦争によって甚大な被害を被りましたが、同時に加害者でもあったこと、日本が始めた戦争であったことも、さらっと、かつ、きちんと書かれているのもよかったです。
     文章が淡々と書かれているので、とても読みやすかったです。電車が主人公であること、またその一人称の語り口も子ども達にはしっくりくるようでした。
     「ほっぺたに大きなほくろのある男の子」もよくできていて、その子が「幼さの残る兵隊さん」になり、『かば』がその子が無事帰ってくるか心配する気持ちが子ども達にもよくわかったようです。おしまいの方で、「孫に囲まれたおじいさん」になって現れた時には、子ども達が「やっぱり(あの子だ)!」と、とても喜びました。「おじいさんがしんでしまっていたら、生まれてくることのなかった子どもたちです」のところは、読み聞かせするたびに、私も泣きそうになりました。
     70年余りの『かば』の、紆余曲折のある人生も、子ども達にはよく飲み込めたようです。言葉が過不足なく書かれ、戦争の激しさや恐ろしさは絵によって伝わり、最後も「じゅうげきのあとがいまものこっている」という余韻のある終わり方で聞き手自身に感想を委ね、さらに写真と解説で「ほんとうのことなんだ!」と印象づける、どこをとってもすばらしい本です。
     今度は2年生に読み聞かせをする予定です。今後も使いたいと思いますし、勤務校でも購入し、他の人にも薦めたいと思います。
     作者間瀬なおかたさんに、敬意と感謝をお伝えいただければ幸いです。
     

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